「低価格は集客力を持ちますが、客層を低下させる諸刃の剣です」

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 そうだよなぁ、というのが第一印象。

価格と客層の関係。高いものを選ぶ富裕層の考え方 | Web担当者Forum」に興味深い記事があった。

客層は支払う金額に現れる

さらに説明を求めると、Bの性能が悪く買い直すことになればさらに5万円を支払うことになり時間も浪費するからといいます。つまり「性能ロス(損失)」から発生する「時間ロス」も避けるための合理性から高い商品を選ぶのです。価格はものさしの1つに過ぎず、選択理由のすべてではないということです。

安さに命を懸ける底値買いマニアと、質にお金を払う富裕層、どちらと取引を望むでしょうか。私は商品やサービス内容で判断し、さらに高くても買ってくれる後者を選びます。

価格と客層の関係。高いものを選ぶ富裕層の考え方 | Web担当者Forum


 詳しい内容は元記事を読んでもらうとして、個人事業主としてやっているとこの辺は本当にそう思う。

 「客を選り好みしてやっていけるのか」というのは独立した人が必ずと言って良いほど直面する問題だと思うし、選り好みせず「他よりも自分に発注して」と思えば思うほど「低価格・短納期」を売りにする傾向があると思う。(他にも「責任がもてないから安めに」と考える人もいるようだが、これはプロの姿勢ではないと思う)

 が、これには大きな落とし穴が2つある。

1. 低価格
 当たり前だが、量をこなさないと収入が増えない。
 必然的に仕事に追われることになる。ステップアップのために時間を割けないため、ステップアップできずにいつまでも同じような仕事ばかり繰り返す事になる。

 そして記事にも書かれているが、お客さんの質が悪いことが多い。
 低価格なのだからさっとやってさっと納品したいのに何度も何度も修正が入ったり、納品直前になって急に変更を指示されたり、金払いが悪かったり(納品後の値切り、支払い延滞など)。
 これらに関してはもちろん契約書に明記しておいてびしっと断ればよいのだが、そうすると「じゃあもういい。その代わり金は払わない」みたいな態度に出られることも多いようで、結局泣き寝入りのような形で作業をせざるを得なかったりする。

 収入が少なくても済む学生や、配偶者が定職についている場合には低価格を売りにしてもいいかもしれないが、基本的には結構厳しいと思う。


2. 短納期
 短納期の仕事はほとんどの場合、突然にやってくる。これも当たり前。
 するとどうなるか。

 手持ちの仕事を全部こなして暇になった。少しゆっくりしよう。2泊3日で旅にでも出ようかな。

 無理である。
 だって今日この瞬間にも仕事が入ってくるかもしれない。「明日まで!」と言われたらこのつかの間の休息も終了なのだ。ましてや3日も空ける訳にはいかない。

 「短納期」を売りにすると、「いつ仕事が入るか分からない」という状態になり計画的に休めなくなる。その場合の「休み」は「結果的に仕事が入ってこなかった時間」という意味に変わってしまうのだ。
 遠くに出かけるのも難しくなるし(もしくはPC持参でいつでもどこでも仕事できる体制を整える)、ステップアップのために何かに取り組む時間も確保しづらくなる。(計画的に取り組めないので、覚なかなか身にならない。個人差もあるが私はそうだった)
 大きく時間を取られる仕事も請けられないから、結果としていつまでも同じような仕事ばかり繰り返す事になる。


 私にもこの「低価格・短納期」を志向していた(というか、仕事がなくなるのが怖くてそうせざるを得なかった)時期があったのだが、ある時「収入が減ってでも良いから、もっと落ち着いてきちんと仕事をしたい」と思って「低価格・短納期」という看板をはずした。
 外した直後は、それまで取引のあったところからのオファーを断るのがまるで悪いことをしているかのように辛かったし、相手も「今までやってくれてたのに何で」という感じだったが、そのうちオファーも来なくなった。

 そして不思議なことに、余裕が出来ることによってそれなりの作業規模でそれなりの時間がかかる案件(そしてもちろんそれなりの金額)を引き受けることが出来、結果的に収入は増えたのだ。
 誰もがそうなる訳でもないし、私の場合は「運が良かった」としか言いようがない部分が大きいのだが、少なくとも志向としては「自分を安売りしない」事が大原則。ぼったくるのは論外だが、見積もりの際には恐れずに「自分の価値はこれだけです」と提示できるようにしたいものである。(でもいつも怖い。みんなそうなのではないかと)


 友人から聞いた話では、この辺の話は勝間和代さんの『勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─』にしつこいくらい書かれているらしい。(私は先日購入したものの未読)

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