ロードス島戦記はライトノベルなのか

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 先日Twitterで@torgtaitaiさんが

自分の中では電撃文庫がラノベって単語を作った原動力って気がするから、スニーカー文庫を上げられると違和感あったりする。スニーカー上げるならもっと古典もあるやん!とも思うし。 (https://twitter.com/torgtaitai/status/25496915674 )

と発言したのを受けて、
私はむしろスニーカーが成功しているところに電撃が算入してきた印象です。メディアミックスという意味では電撃が勝ちましたが、スニーカーが「ライトノベル」という道を切り開いたという印象です(電撃はそれをさらに推し進めた、という印象http://twitter.com/torgtaitai

と返したのだが、会話を進めるうちに「今"ライトノベル"と呼ばれているもの」と「昔(15~20年ほど前)"ライトノベル"と呼ばれているもの」には違いがあるのではという気がしてきた。

 何しろ昔の事だし、その昔はいちいち「これはライトノベルかどうか」なんて気にしていなかったので記憶違いもあるかもしれないが、当時私がライトノベルと認識していた小説は


  • スレイヤーズ!

  • フォーチュンクエスト

  • 日帰りクエスト (※ 結構好きだった)

  • ロードス島戦記


という辺り。(他にもいろいろあったと思うが、すぐには思い出せない)
 今思い返してみると「改行が多くてテンポ良く進むのがライトノベル」という認識だったような気がする。

 当時はファンタジー小説と言えば翻訳物が多くて、王道と言えば富士見ドラゴンノベルズからドラゴンランス戦記・伝説・英雄伝、あるいは指輪物語(1992年に文庫版が発売された)辺りだったと思うが、どちらも重厚でかなりの文章量。気楽にぱらぱら読むようなものではなかった。

 そこへ出てきたのが前述した作品たちであり、さくさく読めておもしろい、という事から若者たちの支持を集めたのだと思う。

 私は21世紀になる前には「ライトノベル」と呼ばれて出版される作品にかなり幻滅していてそれ以降の事をほとんど知らないのだが、@torgtaitaiさんが

でも今はもぅ「コミックみたいに気軽に刊行されて読み流せる」がラノベって気が個人的にはしますね。だから今の観点からだと「ラノベは電撃以降」って思ってしまうんでしょうな。(http://twitter.com/torgtaitai/status/25498212305 )
という発言に心底驚いたと同時に、「やっぱりな」という思いも抱いた。  私がいわゆる「ライトノベル」に興味を引かれなくなった理由がまさにそこにあったからだ。

 その昔「ライトノベル」と呼ばれた作品は、確かに読みやすくはあったが物語の重厚さは失われていなかったり、登場人物の成長や人と人とが心を通わせるすばらしさが描かれていた。
 もちろん「今のライトノベルにもそれらはある」と反論する人もいるだろう。「読みもしないで何が分かる」という批判ももっともだ。

 ただ、昨今わずかながら期待を込めて読んだ本のいくつかについて、「浅い……」と私が感じたのも事実である。物語の壮大さも、登場人物の成長も、「所詮空想の産物」と思えてしまうのだ。
 人生経験が少なく多角的なものの見方ができない若い作者が増えているのだろうか。
 あるいは、とにかく短期間に次々と作品を出版していかないといけないので1つ1つについてしっかり物語を考える暇がないのだろうか。(署名は失念したが、驚くほど薄い本(通常の1/2程度の厚さ)を書店で見かけた時には心底驚いた)

 「ライトノベルからいろいろなものを学んだ」と言う人たちの「いろいろ」が、昔は10だったものが近年は5になっていないだろうか。それを「今も昔も若者がライトノベルから多くを学んでいる」と錯覚してはいないだろうか。

 とはいえそれは自己責任だ。
 そういう需要があるのは事実であり、作者も出版社もそれに応えているだけである。読者も含め、誰も悪くない。
 内容の薄い「ライトノベル」が読みたくなければ、読まなければよいのだ。私のように。


 最近の基準で言えば「ロードス島戦記」はライトノベルの範疇に入らない事もあるらしい。
 しかし今の物差しで昔を測る事にどの程度の意味があるのだろう。

 「ロードス島戦記」がライトノベルの範疇に入らないというのであれば、そう思えばいい。
 ライトノベルであろうがなかろうが、後世に残すべき優れたファンタジー作品である事に異論はないであろうから。








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